フリーランスになった経緯
フリーランス生活を始めて1年が過ぎたということですが、そもそもフリーランスになったきっかけはなんですか?
もともと独立志向ではあったんですが、直接的なきっかけはコロナ禍で勤め先がなくなったことです。
ただ、当時在籍していた会社は設立されたばかりのベンチャー企業で新しい事業を始めようとしていたので、元々ハイリスクなところでした。
なのでコロナ禍がなくても同じ結果だったかもしれません。
どこかの会社に転職することは考えなかったんですか?
これまでは、離職したら「すぐにでも再就職しないと!」と考えるタイプでしたが、今回ばかりはそうは考えませんでした。
一度きりの人生、失敗して後悔することになったとしても、フリーランスというか個人で何かやってみたいとずっと思っていました。
でも、それまでなかなか行動には移せませんでした。
「まだやりたいことが分からない」
「まだ十分なスキルが身に付いてない」
「まだお金が貯まっていない」
「まだ自信がない」…
そうやって行動を先延ばしにしては、気がつけば34歳になっていました。
逆に言うと、34歳という若手ではないけど中高年でもない微妙な年齢になったことにより、ようやく決断できたというのもあります。
何歳からでも遅すぎるということはないとは言え、これ以上年齢を重ねると身動きがしにくくなるんじゃないかって思って、就職ではなくフリーランスの方向で行動するようになりました。
自分の仕事やライフスタイルを、ある程度自分でコントロールしたいと思うからです。
会社員だと、当然ですが上司や会社組織の指揮命令に従わなければなりませんよね。
たとえそれが理不尽だと感じたり、従いたくないと思うような命令であっても、基本的に無視したり拒否したりはできないものだと思います。(反対意見ぐらいは言えるにしても)
最近の例で言うと、せっかくテレワークができるようになったのに、会社が再び原則出社に方針を切り替えたので、結局出社しないといけない…。なんてこともあったそうです。
会社の方針に従うのが会社員ですから仕方の無いこととは言え、どうしてもこのようなことが度々起こってしまうわけですよね。
その分、安定した給与や休日、社会的な地位などが得られるわけですが、僕はそれよりも自由が欲しいと思ってしまう(笑)
良い歳して大人になりきれない残念なタイプなんだと思います。
また、できれば生涯働き続けたいからというのもあります。
年を取って世間的に『高齢者』と呼ばれる立場になっても、自分の生活費ぐらいは自分の力で稼ぎ続けられるような将来でありたいと考えています。
ただ、高齢者になっていきなり独立しようと思ってもなかなか気力や体力がついてこなかったり、新しいことを覚えるのに苦労したりすると思ったんです。
そこで、高齢者になってから自分で稼ぐ方法を学ぶのではなく、前々から準備をしておこうと。
今のうちに、自分で稼ぐ方法とコツをつかんでおけば、高齢者になってからも慌てずに済むんじゃないかなぁ?という考えもありました。
なるほど…。
でもフリーランスって不安定ですよね?フリーランスに不安はなかったんですか?
不思議と不安はそんなにありませんでした。
幸か不幸か大企業に勤めたこともなく、ちゃんとしたボーナスをもらったこともなかったので、会社員=安定という考えが元々自分の中になかったことが大きかったかもしれません。
毎年ボーナスが数ヶ月分も出るようなところに勤めた経験があって、会社員=オイシイという思いをしたことがあれば、僕の決断は変わっていたかもしれません(笑)
元々お金のかからない生活スタイルでしたし、元々吹けば飛ぶような中小企業に勤めることが多かったので、フリーランスで独立するリスクに対する不安はそんなに大きなものではなかったです。
もちろん、お金の心配はありましたけどね。
フリーランスという道を選ぶこと自体に対する不安というか葛藤は、ほとんどなかったような気がします。
でもWeb制作やグラフィックデザインは未経験だったんですよね?
そうです。
なので、地元のWebデザインスクールに通って基礎的な知識とスキルを学んだ上での決断でした。
スクールで実際にHTMLやCSSに触れてみて、「これは面白い!ずっと学び続けられる!」と思ったので、実務は未経験でしたが飛び込んでみました。
また当時既に33~34歳だったので、そこからWeb制作会社の面接を受けて採用を勝ち取るのは正直現実的ではなかったのも、フリーを選んだ理由として大きいかもしれません。
採用されるまで何十社も面接を受けるよりは、フリーでちょっとした小さな案件でもとにかく実績を積んだ方が良いという判断でした。
実務未経験だからこその選択でもあったんですね。
次の章では実際のお仕事について伺っていきます!
初案件獲得とその後
とあるメディア系企業様のコーポレートサイト作成でした。
デザインはクライエント様から受け取り、WordPressを基盤にHTML/CSS、PHP、JavaScriptのコーディング、サーバーへのアップなどを担当させていただきました。
某大手のクラウドソーシングサービスで、案件に提案してお仕事を頂きました。
当然最初は実績0からのスタートなので、自分の提案を採用いただいた時は嬉しかったと同時にびっくりしました(笑)
クライエント様に提案採用の理由を直接聞いたわけではないので、あくまで推測にはなりますが…。
コピペの提案文ではなく、ご要望に合わせて丁寧に提案したことと、やはり低コスト(クライエント様の予算の範囲内)で、提案したことが大きかったのかな?と思います。
結論から言えば、無事にこなせて納品できました。
ただ正直、案件を通して自分の知識やスキルレベルの足りなさを痛感しました。
今となっては簡単に解決できることも、当時はGoogle検索で調べながら1つ1つ時間をかけて解決するのがやっとで、「Webデザインスクールで学んだんだから大丈夫!」という根拠の薄い自信は見事に打ち砕かれました(笑)
技術的に難しいことは事前にお伝えして代替案を提示し、またクライエント様も柔軟にご対応して下さる方だったので初案件はうまくいきましたが、スキルレベル以上の案件を引き受けることのリスクを思い知りましたね。
より実務で使える知識やスキルを習得すべく、その後しばらくは案件を探すのをストップして、ブログを書くことでWeb・グラフィック制作関係の勉強に集中しました。
本やネットで知識を得るだけでは、身にならないと思ったからです。
アウトプットしたり、誰か他の人に向けて説明したりすることで、曖昧な理解がより明確になって確かなスキルとして身に付く。
…のではないかなぁ?と考えたわけです。
それに、ブログはWeb制作を学ぶのにあらゆる意味で適していました。
ブログには画像が欠かせないので画像周りの知識も身に付きますし、どうせなら多くの人に読んでもらいたいのでSEO対策の基礎も身に付きました。
極め付けは、失敗したり結果が出なかったりしても、誰にも迷惑をかけないので、思う存分試せる場である…という点ですかね。
怖がらずに実際の案件をどんどんこなしていくのも手だと思ったんですが、クライエントからしてみれば「君を成長させるために仕事を依頼しているわけじゃない」ので、大きな失敗は許されません。
その点はシビアに考えていました。
勉強に集中している間、自ら案件を探すことはしませんでしたが、問い合わせをいただいた案件には対応していたので、そちらの収入が少しありました。
あとは隙間時間にフードデリバリーをしたり、なるべく節約したりして、学生時代よりもお金を使わない生活をしていました。(笑)
フードデリバリーをしたこともあったんですね。
次の章では、ズバリお金のことについて聞いてみたいと思います!
フリーランス1年目の収入
めちゃくちゃ答えにくい質問ですね。(笑)
正確な金額はここではお伝えできませんが、正直にいうとフルタイムで正社員として働いていた頃よりかなり下がりました。
正社員の給料もピンキリですが、年収500万円から下がったのか、300万円から下がったのか…といった部分はご想像にお任せします。
ぼんやり表現するならば、まだまだ生活に余裕が持てるほどではないですね。
もちろんあります(笑)
ただ、どんな分野で独立するにしても最初の1〜2年は厳しいだろうと予測していたので、「思ったより全然稼げなくてやばい!」みたいな現状に対する不安はないです。
下手すると言い訳にもなっちゃうんですが、最初の1年は修行期間も兼ねていると考えていたので、最初から高収入を求めるのは違うだろう、と。
どちらかというと、もう1年経っても収入が今のままだったらどうしよう…みたいな将来に対する不安ですかね。
その頃にはスキルレベルも今よりさらに上がっていなきゃいけないですし、そうなったら収入も上がってないとヤバいぞっていう(笑)
今この瞬間、衣食住に困っているわけじゃないなら、お金についての心配はあまりし過ぎないようにすることですかね。
あとは不安を感じたら、とにかく行動するようにしてます。
ブログを書く、案件を探す、何かスキルを身につけるための情報を集める…などなど。
不安で何も手がつけられない…という状況にだけはならないように気をつけてます。
それから、逆説的ですがフリーランスにこだわらないようにもしています。
フリーランスに憧れてフリーランスになってみましたが、フリーランスになってもストレスからは逃れられないし、なんなら雇われて働くのも悪くはなかったなって、今となっては思うんです。
フリーランスとしてやっていくのが難しくなったとしても、その時はその時で他の生き方を考えればいい。
そんなふうに柔軟に考えることで、不安と付き合っています。
『雇われて働くのも悪くなかった』と思うようになった経緯が気になりますね。
次の章ではその点についてお聞きします!
フリーランスの大変なところ・良いところ
前章で『フリーランスになってもストレスからは逃れられない』、『雇われて働くのも悪くなかった』という発言がありましたが、これはどういう意味ですか?
フリーランスになってみないと分からなかった大変さや、ツラさにも気づけたと同時に、雇われて働くメリットにも目を向けられるようになったということです。
ある程度フリーランスの大変さは想像していましたが、やはり想像と実際に体験するのとでは違いますからね。
一言で答えるのは難しいですが、たとえばクライエントさんと直接色々な交渉をしないといけないことに対して、時々精神的な負担を感じます。
「○日までの納期は難しいですが、△日まででしたら可能です」とか、
「いくらなら引き受けられます」とか、
「これ以上は追加の料金を頂かないと難しいです」とかっていう納期や金額の交渉って、なんかちょっとやりづらくてビビるじゃないですか(笑)
僕は営業職をしたことがなかったので、そういったビジネスにおける交渉とか駆け引きに自信がなくて。
あんまり強く主張すると相手が気を悪くしちゃうかな…?二度と依頼が来なくなるかな…?みたいな感じで色々心配したりして、メールの返信だけで疲れてしまうこともあります。
あと、『明日は休みにしよう』と決めてたところに急な依頼が入ったりして、結局休めない…ということも何度もあって。
フリーランスの今より、週休制で必ず決まった休みが保証される会社員だった時の方が、間違いなくしっかり休めてました。
まだフリーランスとしての経験が浅いので、休みの取り方が下手という僕側の問題でもあると思いますが。
あとは何かトラブルが起こっても助けてくれる人がいないことですかね。
基本一人が好きなので寂しいっていうのは無いんですが、何かあった時に頼れる人は欲しいなと時々思います(笑)
受ける仕事をある程度選べたり、仕事の進め方を自由に決められるところです。
まだまだ偉そうに仕事を選べる立場ではないのですが、それでも絶対に受けたくない案件であれば受けないという選択を取ることはできます。
また引き受けた案件に関しても、一気にガーッと進めて後でのんびりしても良いし、毎日コンスタントに進めても良い。
朝にやる気を出しても、深夜にやる気を出しても良い。
状況をいちいち上司に報告しなくて良いっていうのは、すごく自分に合っていると思いますね。
会社員時代、『日報』とか『報告書』が大嫌いだったので(笑)
フリーランスとして成功できる・できないを別として考えるのであれば、向いているとは思います。
毎日一人で仕事をしていても全く寂しさは感じないですし、良くも悪くもクソ真面目な性格なので、誰にも見られていないからといって一日中だらけきってしまうこともないですから。
逆に言うとさみしがり屋なタイプはフリーランスには向かないと?
一人に強い、一人が好きっていうタイプの方が合っているんじゃないかとは思いますが、さみしがり屋が向かないわけではないと思います。
さみしがり屋なタイプは、積極的にフリーランス仲間を作って交流したりすれば良いですし。
また、フリーランスと言ってもどんなことを仕事にするかによって、スタイルは全く変わってくると思います。
なので、一概にどういうタイプがフリーランスに向く・向かないというのは言えないんじゃないでしょうか。
確かにWeb・グラフィックデザイン意外にも、色々な分野のフリーランスがいますよね。
最後の章では、今後の展望について伺います!
フリーランス2年目の計画
最初の1年はスキルを身につけることに重点を置いたおかげで、自分で言うのもアレですが、できることが大幅に増えて対応できる仕事の幅を広げることができました。(まだまだな部分も多いですが)
なので次の1年は、「お金を稼ぐ」ということにも重点を置いて活動をしていきたいと考えています。
今はクラウドソーシング経由の割合が比較的多いですが、それ以外の案件の割合をもっと増やしていきたいですね。
クラウドソーシングは本当に便利なんですが、それ一本になってしまうと、クラウドソーシングというサービスがあることを知らなかったり、または知っていてもユーザー登録などが面倒だからと敬遠しているお客様とは絶対に繋がることができません。
でもそれってすごく勿体無いことだと思うんですよね。
Webサイトを作りたい、ロゴを作りたい、名刺やチラシを作りたい…。そういったニーズを持ちつつクラウドソーシングを使わない方と繋がりができれば、そこからまた仕事が広がるかもしれない。
自分のスキルで誰かの役に立てるのであれば、そのための手段は多い方が良いと思っています。
なるほど。
では最後に、読者さんに向けて一言お願いします!
冒頭でも言いましたが、この記事に書いたことはあくまで僕というちっぽけな一人の体験に過ぎません。
なので、この記事を読んで「フリーランスの1年目ってこんな感じなんだ」というふうに、一般的なフリーランスであるかのような受け止め方をするのはオススメしません。
ですが、「フリーランスに興味があるけれど、一歩が踏み出せない。誰かの実体験を聞いてみたい。」という方もきっといらっしゃると思います。
そんな誰かの、何かの参考ぐらいにはなれたら嬉しいなと思って、今回の記事を書きました。
僕は読者さんの人生に責任を持つことができないので、安易にフリーランスをオススメすることはできませんが、多くのものを失うことがなくチャレンジできる環境であるならば、チャレンジしてみる価値はあるんじゃないかなと思います。
(逆に言うと失う物が多ければ慎重に考えた方が良いと思います。)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!