ウェブデザイン技能検定3級の難易度
資格試験攻略の鍵は、試験の難易度をできるだけ正確に把握することです。
というわけで、まずはウェブデザイン技能検定3級の難易度について解説していきたいと思います。
ウェブデザイン技能検定の3級は、『これからウェブデザイン関係の仕事に就こうとしている人』が対象となっていることもあり、難易度はかなり易しめです。
実技試験に関して言えば、一からWebサイトを作成したことがなくても以下のことができればほぼノー勉でもいけると思います。
- ・HTML/CSSファイルをテキストエディタを使って編集できる
- ・簡単なリンクの設定(aタグのhref属性)や、スタイル(colorやbackground-colorなど基礎的なプロパティ)の設定ができる
- ・見出しタグ(h○)や、段落タグ(p)、リストタグ(ol/ul/li)などHTMLの基本となるタグを使いこなせる
- ・編集した結果をブラウザで確認できる
イメージ的には、ブログやWebサイトのごくごく簡単なカスタマイズができる程度でOKです。
また、学科に関してもHTML/CSSの基礎知識に関する問題が多くを占めています。
なので、普段から趣味のブログをカスタマイズしているような人にとっては簡単に感じられるでしょう。
ただ、学科ではお問合せフォーム(inputタグなど)に関する問題が出題されることもある点には少し注意が必要です。
『趣味でブログを運営しているからHTML/CSSの基礎はバッチリ!』と思っている場合でも、お問い合わせフォームはWordPressのプラグインや外部サービスを利用しているケースが非常に多いかと思います。
そうなると、普段のブログ運営ではフォーム関連のタグを扱う機会が全くなかったりしますよね。
なので、HTML/CSSにある程度慣れていても普段使わないタグに関しては、少し勉強が必要となることもあるでしょう。
さらに、学科はHTML/CSSだけでなく、以下の分野からも出題されます。
- ・HTTP通信
- ・画像形式(JPEG・GIFなど)
- ・著作権
- ・作業環境
- ・コンピュータウィルスやセキュリティ
いずれも基礎知識を問うものなので決して難しいというわけではないのですが、『意外と知らなかった』ということもあり得ます。
3級だからと舐めてかかると思いの外苦戦するかもしれないので、自信があっても過去問には一通り目を通しておくことをおすすめします。
学科の問題は基本的に直近の過去問と同じ傾向・内容なので、過去問さえやっておけば対策としては十分です。
POINT!
- ・3級の難易度はかなり易しめ!
- ・実技は基本的なHTML/CSSの知識があればOK!
- ・学科は出題範囲が広いので、一応過去問には目を通しておこう!
合格に必要な学習期間
ウェブデザイン技能検定3級合格に必要な学習期間は、当然ですが現在のスタートラインによって異なります。
既にWeb制作会社に勤めていて、実務経験が1年以上あるような場合であれば、1週間前ぐらいに軽く過去問に目を通しておく程度で十分かと思います。
一方、これまでウェブデザイン(HTML/CSS)に関わった経験が全くなく、パソコンの操作自体も慣れていないという場合は、しっかり対策をしておく必要があると言えるでしょう。
以上を踏まえて、スタートラインを大まかに4段階に分けて、合格に必要な学習期間をまとめてみました。
- 実務経験あり(概ね1年以上) → 3日〜1週間
- 実務経験なし
趣味でHTML/CSSのカスタマイズを伴うブログ運営をしている → 2〜3週間
- 実務経験なし
HTML/CSSは全くの未経験だがPCの扱いには慣れている → 1ヶ月〜1ヶ月半
- 実務経験なし
HTML/CSSは全くの未経験でPCの扱いにも不慣れ → 2ヶ月〜3ヶ月
上記の必要学習期間はあくまで筆者の感覚に基づいた目安なので、参考程度にしておいてください。
ちなみに筆者は【実務経験あり】のスタートラインから受検しました。
試験日の1ヶ月以上前に過去問を買っておいたのですが、過去問を見て『もっと直前になってからやっても大丈夫そうだな』と思ったのが正直な感想でした。
実技対策に関しては、試験の前々日にちょろっと実際の作業をやってみただけで試験本番を迎えましたが、それで問題ありませんでした。
一方で、全くの初心者だったらこんな呑気な感じでは合格できないだろうなと思ったのも事実です。
実技試験に関して言えば、テキストエディタが扱えることはもちろん、試験時間内に効率よく作業を進めるためにはショートカットキーを使いこなす必要があります。
パソコンの扱い自体も不慣れな未経験の方にとっては、試験時間内にゆとりを持って終わらせるのがやや難しいかもしれません。(3級の実技試験時間は1時間です)
そういった意味で、同じHTML/CSS初心者でもパソコンの操作に慣れているかどうかと言う点は大きな違いになるかと思います。
パソコンの操作自体に慣れていない場合は、ファイルの保存やコピー&ペーストなど使用頻度が高いショートカットキーを覚えて使いこなせるようになっておきましょう。
HTML/CSSは未経験だけどパソコンの操作には慣れているという場合は、テキストエディタでHTML/CSSファイルを編集しながらHTMLとCSSの基礎を中心に学ぶのがおすすめです。
また、実務経験はなくとも普段から趣味のブログ運営などでHTML/CSSを扱っていれば、対策に必要な時間は少なくて済むと思います。
試験までに過去問(実技・学科)を1〜2週程度こなしておけば合格できるはずです。
Web制作会社で直接的な実務経験がある場合は、直前ぐらいでも良いので過去問で学科の出題傾向を把握しておき、念の為に実技試験の過去問も1回こなしておくと安心でしょう。
このようにスタートラインによって必要な学習期間は異なりますが、ウェブデザイン技能検定3級の難易度自体は決して高くはありません。
どのようなスタートラインであっても、立っているラインに合った対策をしておけばちゃんと合格できるような試験だと思います。
POINT!
- ・必要な学習期間はスタートラインによって異なる!
- ・実務経験がある場合は直前でも良いぐらい!
- ・実務経験がない場合は、1ヶ月(心配な場合は2ヶ月)前ぐらいを目処に準備を始めよう!
ウェブデザイン技能検定3級は就職に使える?
せっかく資格を取るならそれを活かしたいですよね。
ウェブデザイン技能検定3級は就職や転職に使えるのでしょうか?
結論から言うと、残念ながら”直接的に”就職・転職の役に立つことはないというのが本音になります。
Webデザインの仕事は資格がないと就けない仕事ではないですし、WebデザインにはHTML/CSSだけでなくPhotoshopなどのスキルも必要だからです。
正直なところ、Webデザイナーの就職・転職においては、資格よりも実績やポートフォリオが重視されるのが現実です。
ですが、ウェブデザイン技能検定の資格が何の役にも立たないかというと、そう言うわけでもありません。
Web業界が求める人材として多くあがるのが、『常に学び続けられる人』です。
一度身につけた知識に満足して新しいことを学ぼうとしない人よりも、向上心を持って常に学ぼうとする人を優先的に採用したいと企業は考えています。
そういった意味では、ウェブデザイン技能検定に合格することで学習意欲が高いことをアピールする材料にできるかもしれません。
また、ウェブデザイン技能検定3級は基礎中の基礎を問う試験なので応用力を身につけている証明にはなりませんが、考え方を変えれば『基礎中の基礎は教えてもらわなくても理解している』ことは証明できます。
特に未経験者の場合、実績も資格も何もない状態では門前払いとなってしまうケースが多い中、少なくともウェブデザインに関する最低限の基礎は身につけているという証拠(武器)があれば、少しは就職戦線で戦いやすくなるのも事実です。
なので全くもって無意味かと聞かれるとそうとも言い切れず、ウェブデザイン技能検定が“間接的に”就職・転職の役に立つことはあるかもしれません。
しかし、あくまで『役に立つケースもゼロではない』というだけで、資格があった方が就職しやすくなるという意味ではないので、その点は誤解されないようご注意ください!
POINT!
- ・ウェブデザイン技能検定3級は正直、就職・転職の役には立たない!!
- ・しかし、学習意欲を示すアピールにはなる!
- ・最低限の基礎知識を持っている証にもなるので、一概に全く意味がないとまでは言えない!
受検をおすすめする人、しない人
ウェブデザイン技能検定3級の受検をおすすめする人は以下のようなケースに該当する人です。
- ・Webデザインを独学で勉強中だが、基礎的な知識が身についているかどうか確かめたい人
- ・これからWebデザイン(HTML/CSS)を学びたいが、何か分かりやすい目標を持ちたい人
- ・いきなり2級を受けるのはちょっと怖いので、まずは3級で雰囲気を確かめたい実務経験者
ウェブデザインの基本となるHTML/CSSは独学でも十分に学べますが、独学では興味があるところを中心に学んでしまい、『基本的なことを飛ばしてしまい、知らないままでいた』といったこともあり得ます。
そうならないよう、技能検定を受けて基礎がしっかり身についているかどうか確認するというのは良い技能検定の利用の仕方なのではないかと思います。
またこれからWebデザインを学び始めたいという場合も、とりあえずのゴール(目標)があった方が勉強を楽しめますよね。
その際、まずは手始めにウェブデザイン技能検定3級の合格を目標とするのも分かりやすくて良いのではないでしょうか。
さらに、スキル的には2級の実力があって2級にチャレンジしてみたいと考えている人が試験の雰囲気を掴むために、とりあえず確実に3級から攻めていくというのもオススメです。
一方、技能検定の受検をおすすめしない人は以下のケースに該当する人です。
- ・資格をとって就職・転職に活かしたい人
- ・他にもっとお金と時間をかけたい、学びたいことがある人
- ・既に十分な実績があり、2級や1級試験にも興味がない実務経験者
前章で述べた通り、ウェブデザイン技能検定3級は基本的に就職・転職の役には立ちません。
何の役に立たないとまでは言いませんが、資格があれば就職できるというものでは決してありません。
よって、資格の取得を足がかりに就職・転職したいと考えている場合は、他の手を考えた方が良いかもしれません。
(まずはアルバイトからでも経験を積んだり、ポートフォリオを充実させたりなど)
またウェブデザイン技能検定3級の取得には、検定受験料や試験会場までの交通費などがかかります。
受検料は3級でも決して安くはなく、学科と実技合わせて14,000円(2022年12月現在)かかります。
14,000円あれば高価な参考書が2〜3冊ぐらい買えてしまうので、他にもっと優先的に学びたいことがあるなら無理して受検しなくても良いと思います。
そして言わずもがな、そもそも2級以上の技能検定に興味がない実務経験者が3級を受けるメリットはゼロです。
ちなみに、筆者は結果的に3級を受検してよかったと思っています。
受検直前まではぶっちゃけ
『やっぱり自分には必要ないと思うし、やめときゃよかったかな?もったいなかったかな?』
と思っていたんですが…。笑
でも試験を終えてみて振り返ってみると、合格を目指してスキマ時間を作り出して勉強したり、本番の試験でドキドキして緊張したり…といった経験は、何歳になっても貴重で大切なものだと改めて実感しました。
自分に非日常的な刺激を与えてあげるためにも、資格試験を受けたり、何かに挑戦したりするのは良いことだと思います。
無理して受ける必要はないものですが、少しでも興味があれば一度ぐらい受けてみても良いのではないかと思っています。
POINT!
- ・何か具体的で分かりやすい目標を持ちたい人にはおすすめ!
- ・就職や転職目的ならおすすめしない!
- ・試験のドキドキを感じたいというだけでも受ける価値はあり!