抽象的(シンボリック)ロゴ
まず初めに紹介するのは、抽象的(シンボリック)ロゴです。
注)本記事で紹介するロゴの種類の名称は筆者が勝手に呼んでいるものです。ロゴデザイン界における一般的な専門用語ではありません。
抽象的(シンボリック)ロゴとは、円や多角形、その他抽象的な形や図形などで構成されるロゴです。
有名どころでいうと、三菱自動車のロゴマークが例として適切かもしれません。
勝手に他人様のロゴを掲載することはできないので頭の中でイメージして頂きたいのですが、三菱自動車のロゴは赤い三つの菱形で構成されていますよね。
社名をストレートに表現しつつ、ロゴマークとして完成された美しさを感じさせる素晴らしいロゴです。
このように、社名(サービス名)や企業理念、事業に込めた想いなどを抽象的な図形で表すことは、ロゴデザインにおいてとても多いです。
正円は総合的・完璧なイメージ。
正方形は堅実・安定のイメージ。
…など、図形によって人が抱く印象が異なるので、それをうまく利用してロゴとして表現するのがセオリーと言えます。
試しに一つ、抽象的ロゴを作ってみましょう。
『安定して成長する』という意味を込めたロゴにしてみたいと思います。(あくまでサンプルなので設定もシンプルにします)
『安定』を正方形で囲むことで表現し、『成長』は長方形を右肩上がりの棒グラフのように並べることで表現してみました。
一見すると抽象的ロゴはとても簡単に作れそうに見えるかと思いますが、意外とそういうわけでもありません。
図形の大きさや配置の絶妙なバランス、配色、シンプルながらも他と被らないような個性を出す調整など、抽象的ロゴはかなり奥が深いのが特徴と言えると思います。
作成のテクニック的なことを言うならば、Illustratorの図形描画ツール、パスファインダー(図形同士の合体や切り抜き)などを主に使用して作成します。
作成するのにIllustratorの高度な機能を扱える必要はあまりありませんが、前述のように、だからと言って簡単に作成できるわけではなくロゴデザインならではの難しさがある種類のロゴだと言えます。
POINT!
- ・抽象的(シンボリック)ロゴとは、抽象的な図形で表現された種類のロゴ!
- ・図形が人に与えるイメージを利用して、ロゴマークとして表現する!
- ・形はシンプルであることが多いが、だからと言って作成が楽で簡単というわけではない!
ネームロゴ
次に紹介するロゴの種類は、ネームロゴです。
ネームロゴとは、社名やサービス名を、そのままロゴとしてデザインしたものです。
有名どころでは、ユニクロが分かりやすいかもしれません。
ユニクロのロゴは、赤い背景に白の「UNICQLO」の文字が並んでできていますよね。
ロゴマークとしての図形や絵は無くて、サービス名(ブランド名)がデザインの中心となっているのが分かるかと思います。
文字ロゴは文字の配置や大きさを工夫したり、文字を変形したりすることによってデザインするのが基本となります。
試しに、「SAMPLE」という文字でネームロゴを作ってみたいと思います。
本当は前章のようにロゴデザインのコンセプトや設定を考えて作った方が良いのですが、今回は特に何も決めずに自由に作ってみたいと思います。
というわけで、ネームロゴのサンプルが出来上がりました。
文字の左上と右下部分を斜めにカットし、カラーを分けて切り離したデザインにしてみました。
上のサンプルのように文字をカットするという手法も、ネームロゴではよく使われています。
ネームロゴは一般的にロゴマークを伴わないので、ロゴに特別な意味を複数持たせるのが難しいです。
もちろん、安定感を出したければ太めのフォントでカラーをブラックでまとめたりすれば狙った効果は出せるのですが、それとは別の意味をロゴマークで補足する…といった戦略が取れません。
なのでネームロゴでロゴデザインする場合は、より「ロゴにどんな意味を込めるか」を絞り込み、はっきりさせた方がデザインしやすいと思います。
POINT!
- ・ネームロゴとは、ロゴタイプ(ロゴテキスト)をデザインの中心としたロゴデザイン!
- ・文字の大きさや配置、色を工夫したり、文字を変形させたりするのがメイン!
- ・ロゴマークを伴わないので、ロゴに込めたい意味や想いを絞り込んだ方がデザインしやすい!
イニシャルロゴ
この章で紹介するロゴは、イニシャルロゴです。
イニシャルロゴとは、会社名やサービス名などのイニシャル(頭文字)をロゴとしてデザインしたものです。
マクドナルドのロゴは実は「M」が由来ではない…という話は聞いたことがあるかもしれませんが、イニシャルロゴのイメージとしてはマクドナルドのロゴを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
ネームロゴと違って基本的に頭文字の一文字のみでデザインされるので、文字の配置や大きさのバランスを変えるだけはデザインが成り立ちません。
そのためイニシャルロゴの場合、作字や文字の変形、図形などとの組み合わせが前提となることが多いと考えて良いと思います。
図形と組み合わせるとはどういうことかと言うと、例えばイニシャルを四角形や円で囲んだり、図形を並べてイニシャルの形にしたり…といったデザイン手法が考えられます。
それではイニシャルロゴもサンプルを作ってみましょう。
ここでは「E」の字を使ってロゴをデザインしてみたいと思います。
上のサンプルロゴでは既存のフォントは使用せず、「E」の文字を作字(オリジナルで文字を作ること)しました。
あまり手を加えすぎても何のイニシャルなのか分かりづらくなってしまいますが、既存のフォントに近いぐらいだとロゴとしてのインパクトに欠けてしまいます。
個性を出しつつも、イニシャルであることを分かりやすくデザインする…という点が、イニシャルロゴのポイントであり、難しさかもしれません。
POINT!
- ・イニシャルロゴは、会社名やサービス名のイニシャル(頭文字)をとってデザインしたロゴ!
- ・作字や文字の変形、図形との組み合わせなどを利用してデザインする!
- ・個性を出しつつも、イニシャルであると分かりやすくデザインするのがポイント!
イラストロゴ
最後にご紹介するロゴの種類は、イラストロゴです。
イラストロゴとは、社名や企業理念、事業内容をイラストやイメージキャラクターなどで表現し、ロゴマークとしてデザインしたものです。
有名どころでは、iPhoneで馴染み深いAppleのりんごのロゴがわかりやすいかと思います。
抽象的ロゴな雰囲気もありますが、どちらかと言うとりんごを直接的にイラストで表していると言えます。
ロゴはぱっと見でも分かりやすく、記憶に残りやすい形が理想と言えるので、「イラスト」と言っても漫画チックな絵がロゴとして使われることは少ないです。
ロゴは小さなサイズで表示・印刷されることも多いですし、漫画の絵のように細かく描き込んでもよく見えませんからね。
どちらかというと、イラストロゴはアイコンのようにシンプルに表現した方が、ロゴとして分かりやすくまとまりやすいです。
ここではサンプルとして、『ドーナツ屋さんのロゴ』をイラストロゴで作ってみたいと思います。
というわけで、ドーナツを直接的にイラストで表してロゴにしてみました。
イラストは手描きやペンツールで自由に描かれることもあれば、図形の組み合わせで幾何学的に描画されることもあります。
アイコンっぽいイラストの場合は、図形の組み合わせで描くことが多いです。
POINT!
- ・イラストロゴは、会社名やサービスなどを直接的にイラストで表現したロゴ!
- ・ロゴデザインにおいては、漫画の絵のような複雑なものよりも、シンプルなイラストの方が適している!
- ・手描きやペンツールで自由に描いたり、図形の組み合わせで描画したりなど、様々な手法が用いられる!